風光明媚な都市はいかにして老衰死率No.1になったか
「老衰」が死の扉を開こうとしていた。11年も介護してきた母とは、もう別れなければならない。
「いよいよかと思ったら、心臓がバクバクと鳴りました。口の中も乾いてしまって……。ただ、救急車を呼ぶ気はありませんでした。もし病院へ運んでいたら、母は何日か生きたかもしれません。でも、母も私もお互いに十分頑張った。もういいなという気持ちがありました」
神奈川県茅ヶ崎市に住む70歳の女性が言う。2013年、98歳の母を自宅で看取った。
実家で独り暮らしをしていた母は02年、S状結腸の癌(がん)で入院した。当時87歳。要介護度2の認定を受けていて、退院後の生活が心配だった。兄と姉はいたものの、末っ子の女性が面倒を見ることにした。
夫はすぐに日曜大工で廊下や便所に手すりを取り付けてくれた。
母は近所の散歩を日課にした。遊んでいる子供達に、目を細めて話しかける。中庭に畑を作ると、大喜びで野菜に水をやった。
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source : 文藝春秋 2018年07月号