戦争か核容認か トランプ「究極の選択」はいずれも日本の悪夢だ

緊急特集 米朝激突クライマックス

手嶋 龍一 外交ジャーナリスト・作家
佐藤 優 作家・元外務省主任分析官
ニュース 政治 国際 韓国・北朝鮮
金正恩(左)とトランプ大統領 ©時事通信社

 手嶋 北朝鮮は、平和の祭典とされる平昌五輪を存分に利用して、対北包囲網を打ち破ろうと試みました。南北和解に前のめりになっている韓国の文在寅大統領を巧みにひきつけ、選手団や応援団、最高幹部を派遣した。そうして韓国と日米を離間させ、安全保障同盟に亀裂を生じさせようと画策しました。朝鮮半島を舞台にした戦略的なゲームで、我々にとって残念なことに、金正恩という政治リーダーは一手も打ち誤らなかったのです。

 佐藤 まず見誤ってはならないのは、とんでもない独裁者であっても、金正恩委員長の言動は、かなり「合理的」で「戦略的」であることです。それと対照的に、韓国の外交はあまりに稚拙でした。

狡猾な北朝鮮、稚拙な韓国

 手嶋 南北首脳会談も、米韓合同軍事演習を先延ばしし、独裁体制を保証させるのが、北朝鮮の狙いです。

 佐藤 どんな首脳会談も開催地が意味を持ちます。外交においては、どちらがどこに行くのかが重要だからです。南北首脳会談は、過去2回開催されましたが、いずれも平壌でした。例えば中国の皇帝は、接見するだけで外遊はしません。金正恩が言っているのも同じで、要するに「うちに挨拶に来い」ということです。

 手嶋 文政権は北朝鮮のペースに乗せられています。

 佐藤 文政権も、おそらくそこは分かっている。しかし、分かっているのに止められない。この政権は、ポピュリズムしか拠り所がないからです。統一旗を掲げて、金与正が来て、あれだけ盛り上がれば、「ああ、うまくいってよかった」となってしまう。ビットコインの価格を毎日見ながら一喜一憂しているようなものです。

 手嶋 実は、平昌五輪に先立つ1月13〜14日、サンフランシスコで重要な会議が開かれました。日米韓の安全保障担当補佐官による三者会議です。米国のマクマスター国家安全保障大統領補佐官、日本の谷内正太郎国家安全保障局長、韓国の鄭義溶国家安保室長は、いずれも総理、大統領に最も近く、外交安全保障を実質的に差配している実力者です。この三者会談は、時期的にも重大な意味をもっていたのに、当初は非公開でした。韓国が何としても極秘裏にと求めたからです。ただ、結局、最初に日米の会談が漏れて、三者会談も公になってしまいました。

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source : 文藝春秋 2018年04月号

genre : ニュース 政治 国際 韓国・北朝鮮