この夏のローマは、例年と比べても暑い。陽の下では連日、40度にも達しているという。雨も降らない。ローマの雨は、夜中に降って朝には止んでいるという都合のよい雨なのだが、その雨もここ数カ月降らない。それでローマ市庁は、1日8時間の給水制限まで言い始めた。
このような話くらい、私を唖然とさせることもない。ローマ帝国時代には給水制限なんて無かったのに、あれから2000年が過ぎた今のイタリア人に、なぜ昔のローマ人にやれたことがやれないのか。
結論を先に言うと、やる能力がないのである。
コロッセウムを4年で完成させた2000年昔のローマ人に対し、現代のイタリア人は、病院一つ建てるのに30年もかかってしまう。
これは、工事費にも影響してくる。30年の間には、工事費とてますます高くつくようになるのだから。
要は、公共事業とは、当初の採算は度外視してでもやらねばならないことか、それとも、需要の見込みが立たないかぎりはやらない事業か、という問題なのだ。つまり、「政治」と考えるか、それとも「経済」と考えるか、のちがいである。
なにしろ、ローマが給水制限にまで追いこまれた原因が、雨が降らないことよりも、採水地から給水地に水を運んでくる途中での漏れ水にあるというのだから呆れた話である。
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source : 文藝春秋 2017年10月号