連合と公明党をうかがう小池に好機到来。政界の師とも相談を重ねて……
「各党は単に反対という主張ではなく、自分たちはこう考えているという案を持ち寄っていただきたい」
7月23日。首相・安倍晋三と日本青年会議所会頭・青木照護の対談が横浜市内で行われた。翌日からの閉会中審査を控える中、安倍は憲法改正について、秋の臨時国会からの議論を念頭にこう語った。
同日、安倍と平仄を合わせるかのように、長野県松川村の党会合で講演した衆院憲法審査会長の森英介も、現行憲法を改正すべきだと訴えた。安倍が改憲項目に掲げる九条への自衛隊明記に関し「各国の憲法を見ても、実力組織や最高指揮権を憲法に明記していない国はない」と指摘。改憲論議について「拙速は慎まないといけないが、着実に進めていく」と強調した。
安倍が憲法記念日の5月3日に「20年の新憲法施行」を目指すと表明した頃は、まだ「一強」の花盛り。当時は来秋を想定した衆院選か、再来年夏の参院選に改憲の国民投票をくっつけるダブル選挙を模索していた。
株価と内閣支持率さえ安定していれば、選挙で多くの人が与党に投票し、改憲にも賛成票を投じるだろうという期待があった。ところが、学校法人「加計学園」の問題や、相次ぐ失態で内閣改造直前に防衛相を辞任した稲田朋美の影響もあり支持率は急降下。一部の調査では3割を切り、内閣改造も起死回生の策とはならず、来年まで政権運営が円滑に進む保証は今やどこにもない。
そこで、首相周辺で密かに囁かれ始めたのが「花道論」だ。もはや安倍に解散を打つ力も、来秋の総裁選に出る気力もないのだから、衆参両院で3分の2を握っているうちに来年の通常国会で改憲発議し、総裁選には出馬せず後継に国民投票を託すというシナリオ。悲願の改憲のため、自らの退陣を引き換えにしようという奇策である。
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source : 文藝春秋 2017年09月号