歴代総理に接した有識者が看破する
山崎 御厨さんたちにインタビューをしてもらった私のオーラルヒストリー『舞台をまわす、舞台がまわる』(中央公論新社)が出て驚くほどの反響をもらっています。新聞社からの取材もすごい数で、これまで私の出した本より世間の注目を集めています(笑)。
御厨 それは良かったです。書評も良く出ましたね。私の周囲では「山崎さんが何をしていたかよくわかった」という声が多かったですよ。時の政権に黒衣として出入りしていた山崎さんが政治の世界で何をしていたか、この本で初めて明らかにしていただきました。
それで今日うかがったのは、5年を越える長期政権となりつつある安倍政権をどう見ているのか知りたかったからなんです。どうも最近は、安倍さんの個人的な交友関係に端を発した森友学園や加計学園の問題が火を噴いたりして磐石といわれた政権の足元がグラついています。7年半を越えた佐藤栄作政権のブレーンの1人だった山崎さんならではの見立てを聞きたいと思いました。
劇作家の山崎氏は、『世阿彌』で岸田國士戯曲賞を受賞。評論家としても活躍し、『鴎外 闘う家長』などの著作で知られる。佐藤栄作政権時代に、秘かに官邸に招かれ、学園紛争や沖縄返還についての政策を提言。以降、大平正芳、小渕恵三、小泉純一郎などの各政権で有識者会議に招かれた経験を持つ。
御厨氏は政治学者。オーラルヒストリーの先駆者として知られ、政治家や官僚などに対して聞き取り調査を行う。今春、提言がまとめられた天皇陛下の退位に関する有識者会議では座長代理を務めた。
山崎 同じ長期政権といっても、私が知っている佐藤さんと安倍さんではずいぶん性格が違いますね。佐藤さんは泰然自若としていて「静」のイメージがあります。一方の安倍さんはスポーツマン。いつも動いていて「動」のイメージがある。
御厨 佐藤さんは「待ちの政治」といわれましたが、待っているばかりではなかった。考え抜いて、ここが王道だと思ったところを突き進んでいく。安倍さんの場合は、引っかかる問題があるとさっと自分が飛び出して行く感じです。じっくり構えたところがないから、総理としてはやっぱり軽いなあという印象はぬぐえません。
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source : 文藝春秋 2017年08月号