家族が絶対に守るべき10の約束

大特集 認知症の常識が変わった

長田 昭二 医療ジャーナリスト
ライフ 医療

診療科の選択方法から財産管理のコツまで

行政機関をどう使いこなすか ©iStock

 医師から「認知症です」といわれてショックを受けない人はいない。当人はもちろん、その日から介護生活が始まる家族も同様だ。では、家族はどのように認知症と付き合っていけばいいのか。現場を知る3人の専門家に、認知症と寄り添いながら豊かに暮らすポイントを聞いた。

■1.認知症を疑うきっかけは?

 脳の萎縮は数年単位でゆっくり進行する。「今日から認知症になった」という基準日はなく、診断を求めて受診するタイミングも様々。

「日々の変化が小さいだけに、同居している家族だと気付きにくい。逆に、久しぶりに会う親戚や友人はその変化がよくわかる。人からのアドバイスは貴重です」と語るのは、神奈川県藤沢市で小規模多機能型居宅介護などを運営する株式会社あおいけあ代表、加藤忠相氏。

 以前はできたことができなくなる、という変化への注意を呼びかけるのは、鳥取大学医学部教授で日本認知症予防学会理事長の浦上克哉氏。「買い物の際の小銭の取り扱い」を例に挙げて説明する。

「買い物をして支払う時、日本人はなるべく小銭から使うものです。ところが認知機能が低下すると小銭の計算が面倒になって、何でも紙幣で払うようになることが多い。小銭があるのに高額紙幣ばかりを使うようになったら要注意です」

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source : 文藝春秋 2017年08月号

genre : ライフ 医療