自民党政治と訣別し東京から日本を変える
誰が名付けたかは存ぜぬが、昨年7月の東京都知事選で私がキャンペーンカラーとして使った緑は「ゆりこグリーン」と呼ばれている。首都・東京が、そのゆりこグリーンに徐々に染まり、私は291万の得票で第20代東京都知事に選ばれた。新宿の都庁舎玄関で、知事選で私を支持してくれた3人の都議会議員に迎えられた8月2日の初登庁から、早10カ月がたつ。
恒例の都議会各会派への知事就任挨拶回りで、私との写真撮影を拒否する議長の姿が繰り返し大きく報じられるなど、これまでほとんど伝えられることのなかった都政への関心は異様ともいえる高まりを見せた。毎週金曜日に行われる都庁での定例記者会見は、午後のワイドショーのレギュラー・コンテンツ化し、豊洲市場問題、五輪会場問題など、都民がこれまで知りえなかった様々な事実が白日の下に晒されるようになった。
私が唱える「東京大改革」の1丁目1番地は情報公開にある。スウェーデンに匹敵する総予算規模にもかかわらず、ほとんどの都民は自らが納めた税の使われ方や、議会のあり方も知らされていなかったのだから、大転換だ。開示請求された文書は、これまで黒塗りのいわゆる「のり弁」状態であったが、原則公開へと切り替え、閲覧手数料の無料化やコピー代の減額なども行うよう、情報公開条例を改正する。公金支出も都のホームページにアップするなど、ICT(情報通信技術)を活用すれば、わざわざコピーする必要もなくなる。
毎年、予算に盛り込まれる市町村総合交付金についても、これまでは自民党都連幹部から各自治体の長に「確保してやったぞ」とばかりに、うやうやしく通知されてきた。各業界団体に関する予算付けや補助金の内容も、長年の既得権と化してきた、いわゆる政党復活予算200億円を元手に、いち早く団体の長へと伝えられた。行政と議会の役割が交錯していたといわざるをえない。それを正したのも、情報公開の力である。政党復活予算は廃止、交付金や補助金なども、全体予算案発表とともにネット上に公開したからだ。
政治の信頼度、透明度の国際比較で、つねに上位を占めるのは北欧諸国だ。税金の高さも手伝い、国民の情報公開意識は強い。私は北欧並みを目標に、ICTを活用した情報公開をさらに徹底していきたいと考えている。
本来の役割を忘れた都議会
都政の「見える化」は、都政改革の基礎部分である。もうひとつの基礎が、都政を預かる知事と車の両輪をなす都議会の改革だ。地方自治は、行政の長である首長と、行政をチェックし、予算や条例の議決権を有する議会による二元代表制で成り立っている。
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source : 文藝春秋 2017年07月号