第三次朝鮮半島核危機

新世界地政学 第69回

ニュース 政治 国際 韓国・北朝鮮

 レックス・ティラーソン米国務長官は、先月の訪日と訪韓の際、北朝鮮の核・ミサイル攻勢への米国の対応について、「この20年間の努力は失敗した」と断言。今後は「すべてのオプションを検討する」と述べ、軍事手段の行使を排除しない姿勢を示した。

 2016年、北朝鮮は二度の核実験と19回のミサイル実験を行なった。しかも、核弾頭の小型化と米国を捉える大陸間弾道弾(ICBM)の開発を急ピッチで進めている。このままでは、北朝鮮は2020年までに100個の核を保有し、また、2、3年以内に、米国西海岸に届くICBMを開発する、と予測されている。

 プルトニウム開発の第一次(1994年)、濃縮ウラン開発露呈の第二次(2002年)に次ぐ第三次危機に世界は見舞われている。トランプ政権の最初にして最大の外交的試練である。

 第一次のとき、クリントン政権は寧辺の核施設への空爆作戦を検討したが、結局、断念した。カーター元大統領と金日成主席の会談で、核開発「凍結」で合意、その後、両国は北が核開発を中止する代わりに日米韓などが軽水炉を提供する「枠組み合意」を締結した。しかし、北朝鮮は密かにパキスタンから濃縮ウラン技術を導入し、もう1つの核開発を続けていた。

 そして、北朝鮮は2006年、核実験を行なった。現在まで、5回の実験を行なっている。

 ところで、ビル・クリントンが数年前にある国際的投資銀行主催の内輪の会合に招かれたことがある。主催者側の1人が質問をした。「あなたの大統領時代を振り返って、もっとも後悔していることは何ですか」

 クリントンは答えた。

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source : 文藝春秋 2017年05月号

genre : ニュース 政治 国際 韓国・北朝鮮