臨床の圧倒的成果が導き出した答え
アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)をはじめ、喘息や花粉症を含むアレルギー性鼻炎や食物アレルギーなど、アレルギー疾患が増え続け、実に国民の2人に1人がアレルギー患者だという。あまりの多さに、2015年にはアレルギー疾患対策基本法が施行された。特定の病気について対策を定める法律は、がん、肝炎、難病に続いて4番目。いまやアレルギー疾患は国民病と言ってもいいだろう。
では、その原因と治療法はどこまで研究が進んでいるのだろうか。
例えばアトピーの原因に関しては旧来の「角層バリア機能障害」等に加え、「遺伝子JAK1の異常活性」「グリア細胞の活性化」など、遺伝子や分子レベルで解明されつつある。もちろん治療法はそれら遺伝子などを抑えることだ。
でも、どこかおかしい。抗がん剤治療への違和感と同じものを感じてしまうのだ。抗がん剤も強い毒性のある物質を薬とするところから始まり、分子標的薬、免疫療法と治療法が“進化”。最近では遺伝子治療へと発展してきた。だが、新しい治療法で有効性が上がったかというと、実はほとんど変わっていない。
抗がん剤治療による平均的な有効性は約25%(「Trends in Molecular Medicine Vol.7」の調査)、アトピーのステロイド剤による改善率も37%(九州大学の古江増隆教授による調査)にすぎないのだ。
私たちが薬に求めるのは理論ではなく、病気が治ることだ。アレルギーでもがんでも、3人から4人に1人しか効果のない治療を完全に信頼することはできないだろう。
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source : 文藝春秋 2017年05月号