ヤマト運輸は「ブラック宅急便」だ

ベテラン運転手が違法残業の実態を実名告発する

横田 増生 ジャーナリスト
ライフ 企業
ヤマト運輸 ©時事通信

 元ヤマト運輸の川口洋平氏(39)は、セールスドライバーとして16年、同僚の武雅彦氏(35)は13年働いた。2人が働いていたのは、東横線東白楽駅にほど近い、神奈川平川町支店の平川町センターと大口センター。近くには六角橋商店街があり、神奈川大学もあって学生が多く住んでいる。ヤマト社内の言い方をすれば、商業地と住宅地が半々の「半商流・半住宅」地域だった。

 2016年秋に退職した川口氏は同年6月、弁護士を立て同社にサービス残業代の支払いを求めた。

「ヤマトは、お客様に接するセールスドライバーが最重要だと強調していますけれど、僕らからすれば、家畜か奴隷のように扱われていると感じていました。始業前と終業後のサービス残業は日常的に行われているのに、支店長は黙認していたんです。

 お昼を食べる休憩時間もろくろく取れない。ヤマトには、サービス残業などの問題について、現役のドライバーがモノを言いづらい雰囲気があります。同僚同士で不満は言っていても、それを管理者なり会社に訴えるかといったら、ほとんどの人が我慢している。自分は辞めると決めたので、みんなの代弁者として会社と戦おう、と思ったんです」

 川口氏は、昨年2月に退職していた武氏にもヤマトを訴えようと声を掛けた。武氏はこう話す。

「僕は高校卒業後、佐川急便に勤めてヤマトは2つ目の会社でした。でも、ここ数年の辛さはハンパじゃなかったです。朝から晩まで目の前には荷物の山。『これ、マジできねえ』と思うほどの個数を毎日、運ばなければならなかった。同僚とは仲がいいし、辞めたくなかったんですけれど、ただ体力的に仕事がきつすぎました」

 2人は、未払いサービス残業代の支払いを求め労働審判を起こすと同時に、労基署にも訴えた。その結果、横浜北労働基準監督署は昨年8月、平川町支店に対し、違法な長時間労働と未払い残業代に関する是正勧告を出した。さらに昨年12月上旬、「36協定」違反と「大臣告示」違反でも是正勧告を出した。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から

  • 1カ月プラン

    新規登録は50%オフ

    初月は1,200

    600円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • オススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2017年04月号

genre : ライフ 企業