日米安保のあり方を提起せよ

特集 トランプは破壊者か革命家か

ライフ 政治 国際
石破茂氏 ©文藝春秋

 2月に行われた日米首脳会談では、安倍総理とトランプ大統領が、ゴルフで27ホールを共にまわり、四度の食事も共にした。首脳同士の関係において、「相性」は非常に大事な要素ですから、2人の相性が良さそうだということは大変結構だと思います。

 私だったら、ですか? 私はあんなにハイソではありません。どちらかというと庶民派ですから、あのような大富豪とケミストリーが合うか否かと問われれば、やや難しいかもしれませんね(笑)。

 アメリカでは現在、イスラム圏7カ国からの入国を制限する大統領令を巡って、裁判所が一時差し止めを命じるなど混乱が続いています。反トランプデモは全米各地やメキシコでも続いており、ヨーロッパ各国も冷ややかな目で見ている。オーストラリアの首相は、移民問題を巡って電話会談を途中で打ち切られ、中国やロシアも様子見の状況です。そうした中にあって世界第3位の経済大国である日本のトップがアメリカに駆け付けたわけですから「君こそ我が友だ」と思わないほうがおかしいでしょう。ですから、成果があったのは非常に良かったと思いますが、一歩引いて現実を冷静に見ておく必要があります。

 トランプ大統領の言動を見ていると、10年先、50年先、100年先の利益よりも、当期の利益を志向する、まさにビジネスマン的な考え方の持ち主だと思います。彼にとって「当期」とは何かといえば、来年秋の中間選挙までの期間でしょう。下院議員全員と上院議員の3分の1が改選される中間選挙までに、「当期利益」をきちんと国民に示さなければならない、というのが行動原理の根本にあるように見えます。

 トランプ氏のことを「サスペンスとディール(取引)の大統領になる」と予測した人がいましたが、就任後の外国との交渉を見ていると、まさにそうやって当期利益を上げようとしていると感じます。サスペンス劇場さながらに、相手を不安と緊張状態に置き、不安定な精神状態を作り出し、そうした状況下で、最も自分たちに有利なディールを行おうとする。

 そうした思惑に振り回されて、日本がバカを見るようなことがあってはなりません。

 向こうがディールを仕掛けてくるのであれば、何を言われても不安や緊張に陥らないだけの胆力を持ち、正しい情報をもとに、相手を効果的に説得し、日本の国益のためのディールを堂々とやらねばならない。

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source : 文藝春秋 2017年04月号

genre : ライフ 政治 国際