世界は時代を経てもいつの時代にもある大きな原理で動かされてきた。特に顕著なのは長きにわたった暗黒の時代中世がルネサンスや火薬や航海技術、あるいは印刷術の発明によって終焉しアラブ人から習った航海術によってヨーロッパの白人が大洋を渡り有色人種の住む新天地を発見し原住民を殺戮奴隷化しだしてから、中世以後の世界史の歴史工学原理は白人による有色人種支配だった。それを象徴する人物は世界中の海を巡り新しい島々を発見測量し当時の国王の名の元にそれらの新天地を植民地化した名航海者のキャプテンクックと未開の蛮地アフリカをくまなく踏破し植民地化した無類の冒険家スタンレーと言える。
以来未開の新天地は白人の一方的支配にさらされ多くの悲劇が展開されてきた。それが中世紀以後の世界の歴史の実態であり原理だった。
最近発見されたバチカンの公文書に当時のパウロ3世の『有色人種は人間とはみなされるべきではない。ただし彼等がキリスト教に改宗すれば人間とみなす』と言う空恐ろしい文句が記載されている。
こうした過酷な歴史の原理の桎梏から逃れることの出来た国家民族は日本だけだった。故にも日本が強力な軍事近代国家になりおおせたことは中世以後の歴史原理にのっとれば白人先進国にとっては許容しがたい事柄だったに違いない。
ヨーロッパという白人集団が今もなお実質世界を支配している実態を、私は自ら言い出したオリンピックの招致運動を通じてIOCなる組織の実態を眺めて痛感させられたものだ。
本来国家民族の格差を超えて均等公平であるべきスポーツの世界においてもIOCを構成している有色人種の国々の代表はさしたる発言権を持てずほとんど彼等のいいなりで、あまつさえ万国共通の競技のルールまでIOCは彼等に有利に変えようとまでしてきた。一例を上げれば上背の低い東洋人に有利な卓球台の高さをより高くしようとしたが国際卓球連盟会長をつとめた日本人の荻村伊智朗氏が強力に反対してことなきを得た。
日本選手が得意として優勝者の多いスキーのジャンプ競技でもスキーの板の規格を変えようとしてもいた。オリンピック競技ではないが世界で人気のスポーツF1レースの世界でも日本のホンダのエンジンが優秀でそれを搭載した車の優勝が多いとエンジンの規格に関するルールを変更してしまう。あまつさえ日本の国技ともいえる柔道の普及に伴なって試合のルールを改悪し一時は試合が試合ならざる体たらくとなりはてさすがに修正をせざるを得なくなった。
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source : 文藝春秋 2017年04月号