鄧小平と岩倉使節団は考え方がまったく違う
柯 先日、数年ぶりに故郷の南京に里帰りしたのですが、驚かされることがいろいろありました。
上海から南京へ新幹線で移動したとき、普通席が満席だったので日本でいうグランクラスを取ったんです。座席で仕事をしようとしたら、横に座った経営者が携帯片手に湖南弁でまくしたてている。とにかくうるさくて、仕事どころではありませんでした。
さらに南京に到着してみると、学生時代に足しげく通った地元の図書館が高級ホテル開発のためになくなっていた。これもショックでした。市の中心にある大きな図書館ですよ。なぜこんな国になってしまったのだろうかと、考えさせられました。
中国は2010年に日本を抜いて世界第二の経済大国になった。たしかにモノは豊かになり、日本と遜色ないくらい新しい技術が導入されています。でも何かがちがう。
その時に頭に浮かんだのが日本の明治維新です。私には鄧小平が始めた改革開放(1978年〜)後の社会は似たように見えて、大きなちがいがあると感じました。
そこでアジア経済の専門家で、日本の近代化の原動力になった思想にも詳しい渡辺さんと議論をしたいと思ったのです。
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source : 文藝春秋 2017年03月号