「獄中22カ月」死の日々を語る

イスラムテロ「人質」 連続インタビュー

広岡 裕児 ジャーナリスト
ニュース 国際

太縄や棒で殴られ続けた。これは自己責任か、身代金は許されないのか

後藤健二さんが殺害されたとみられる映像について報じる新聞の号外 ©時事通信社

 ISによる後藤健二さん殺害は、ジャーナリストの使命と限界、自己責任という大きな問題を提起した。

 さまざまな意見がある。だが、実際に危険な体験をした人たちはどう考えているのだろうか。そこで今回、イスラム過激派の人質となった二人のジャーナリストにインタビューをした。さらに、ベテランの戦場ジャーナリスト、拉致と身代金に詳しい人々にも話を聞いてみた。

 ニコラ・エナン氏(39)は、アラビア語も堪能な中東アフリカ問題では定評のあるフリー・ジャーナリストで「アラブの春」が始まってからのシリアだけでもすでに四回渡航し記事やTV番組を制作していた。

 そして五回目のとき、二〇一三年六月二十二日、ISにシリアのラッカで拉致された。

 十カ月の人質生活は、ラッカから百㎞ほど西のアレッポではじまった。たびかさなる戦闘で構造がむき出しになった小児病院ビルの地下室につくられた牢に外国人ばかり七人で閉じ込められた。その後、同室者は二十人ほどにふえ、ときには一晩だけ、ときには三、四カ月間といったように「刑務所」を転々とさせられた。

 どこでも房内はタイル張りの床で毛布一枚かぶって全員寝るとぎりぎりという大きさだった。

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source : 文藝春秋 2015年04月号

genre : ニュース 国際