著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、近藤サトさん(フリーアナウンサー)です。
現在、父は我が家の氏神である。子供の頃から病弱だった父は66歳で早々に家族を守る神になった。と言って父は神職というわけでもなく、別段信心深くもなかった。ただ暗く落ち込むようなことが苦手で「神道の葬式は祭祀やで祭りやろぅ。陰気やなくてええ!」と豊年満作の祭りと一緒くたにして笑っていた。
その程度の信仰心のまま、父は神式の自らの葬儀を迎え、私の感覚では棚ぼた式に神となった。ちなみに当時は9割以上の葬儀が仏式だったため、案の定、父の神葬祭に参列してくださった人たちは数珠を握りしめて来られた。しかし神主さんを認めるや、ハッと数珠を引っ込め、ぎこちなく榊を持ち、見様見真似で玉串奉奠を行った。ただし御霊前として置いて行かれたのは線香だった。
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source : 文藝春秋 2022年10月号