「人を殺してみたかった」——。神戸の少年Aと酷似する残虐性。彼女を止めることはできたのか
長崎県佐世保市で起きた県立高校1年の15歳(当時、以下同)の少女Sによる、同じ15歳のクラスメート松尾愛和さんを殺害した事件は、頭部など体の一部を切断するなど、あまりの異常さゆえに、社会に大きな衝撃を与えた。特に子どもを持つ親たちが抱いた不安や恐怖にははかりしれないほど深いものがあったろう。
夢多き青春時代の真っ只中にいた1人の少女から未来のすべてを奪ってしまったこの事件を、未然に防ぐ道はなかったのか。長崎県では、2003年に長崎市で中学1年の男子生徒(12歳)が幼児(4歳)を誘拐して駐車場ビルの屋上から突き落として殺すという事件に続いて、04年には佐世保市の小学校内でも6年の女児(11歳)がクラスメートの女児(12歳)の頸動脈を後ろからカッターナイフで切って殺害するという事件が起きたことから、県独自の道徳教材を使うなど命の大切さを自覚させる教育に力を入れてきた。
こうした学校での取り組みには、広く一般的な子どもたちに命のかけがえのなさと命を守る倫理観を養うという点では、それなりの意味があるにしても、本人でさえ自覚していない特異な「心の闇」を抱えた子に対しては、学校の努力だけでは限界があるのではなかろうか。
そういう中で、私たちはただ漠然と不安や恐怖を抱くのでなく、家庭における育児、教育のあり方など身近な問題や行政、社会が取り組むべき問題をしっかりと考え直す手がかりをつかむ作業をすべきだろう。
「人を殺したい欲求がある」
今回の事件について、報道されてきた様々な情報の中から、事実と見てよいと思われる重要な出来事を拾い上げ、年譜の形で並べて俯瞰すると、具体的な手がかりがつかめるに違いない。その年譜を以下に示す。
97年 (神戸市で少年A事件)
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