アベノミクスは目先の皮算用にすぎない。日本が生き残るための「国のかたち」を提言する
「国家百年の計」を語るのに、政治家ほど向かない人種はない。なぜなら百年の計を立てるには、まず現在、国を蝕んでいる膿を出し切る必要があるからだ。ところが常に目先の選挙に追われる政治家が、国民が聞きたくない“不都合な真実”を敢えて語ることは、まずありえない。
その証拠に今、巷で争点になっていること、例えば「アベノミクス」も「TPP」も「インフレターゲット」も、いずれも日本の長期的な国のあり方を考える上では、重要なことではない。所詮は目先の皮算用だ。だからこそ、争点になっている。本当に重要なことを争点にする政治家を私は見たことがない。
では、今の日本にとって「本当に重要なこと」とは何か。それは激変する世界のなかで、日本という国家が生き残るための、「国のかたち」を決めることに他ならない。
本稿では、政治家には決して語れない、私なりの「百年の計」を論じたいと思う。
安倍晋三首相には、恐らく自分なりに、日本のあるべき姿や国家観があるのだろう。問題は、その国家観の前提となっている世界観が、そもそも間違っているという点にある。世界で今、何が起きているのかという現状認識ができていない。これでは、国家百年の計は語れない。
例えば「アベノミクス」ひとつとっても、それは明らかだ。いわゆる「三本の矢」のうち、一本目の「大胆な金融緩和」と二本目の「機動的な財政出動」については、過去の自民党政権がさんざん使い古した政策である。
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source : 文藝春秋 2013年06月号