読者からのお便り 2023年3月号

三人の卓子

ニュース オピニオン

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問われる「日本人」

 2月号、先崎彰容氏の『新・富国強兵論』を読み、「令和4年はすべてが重々しく、かつ異様であった」という先崎氏の思いに共感しました。「誰もが『漠然とした不安』に心を占拠されているとしか思えないのだ」という主張にも共感します。

 私の個人的な考えを言えば、その不安は今までなんとなく安心して寄り添ってきた「公の秩序」が一気に崩れ去ってしまい、何に頼って生きていけばいいのか、あるいは「日本人とは何か」がわからなくなってきてしまったことによるのではないでしょうか。

 しかし結局、どこからくる不安で、どうすれば安心できるのか、はっきりとはしないまま、私は新しい年を迎えてしまいました。

 そのような時に先崎氏の『新・富国強兵論』を読むことが出来たのは僥倖でした。

 先崎氏は、岸田総理の「岸田ビジョン」が新自由主義的思考を第一原理として構築されてきたと指摘されている。私は、これでは日本人の漠然とした不安は解決されるどころか、ますます増大するだろうと思います。

 また、「強兵策とは、声高に防衛力の強化を叫ぶだけの景気の良いものではない」という主張も、まさしくその通りだと思います。核兵器を持とうが、世界最強の軍備を持とうが、いざという時、はたして日本人がそれを使いこなせるのかどうか。

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source : 文藝春秋 2023年3月号

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