財源は増税か借金か? トマホークは使えるか?
GDP比「2%」は妥当か
――日本の防衛・安全保障にかんする議論が白熱しています。政府は昨年12月16日、日本の防衛力強化に向けて、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」から成る、新たな「安保3文書」を閣議決定しました。国家安全保障戦略では、相手の領域内を直接攻撃する「反撃能力」の保有を初めて明記すると共に、2027年度までに防衛関係予算を対国内総生産(GDP比)の2%規模へと段階的に増額させていくことが示されました。これにより2023年度から5年間の防衛費は、現在の水準の約1.6倍となる43兆円程度へと増額されることになります。
本日は自民党政調会長の萩生田光一さん、京大名誉教授で外交安保の歴史に詳しい中西輝政さん、元陸将で沖縄での勤務経験のある山下裕貴さん、財務省OBで法政大学教授の小黒一正さんにお集まりいただき、(1)「GDP比2%」への防衛費増額の是非、(2)財源は誰が負担するべきなのか、(3)日本を守るために必要な装備は何か。これら三つのテーマについて、政治・財政・安全保障・歴史の観点から幅広く論じていただきたいと思います。
まずは萩生田さんから、昨年に閣議決定された安保3文書について意見をお聞かせください。
萩生田 現在、我が国を含む国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しています。中国は東シナ海・南シナ海において力による一方的な現状変更やその試みを押し進め、北朝鮮はかつてない頻度で弾道ミサイルを発射し、挑発行為をエスカレートさせています。そしてロシアは、ウクライナ侵攻をおこなうと同時に、極東地域での軍事活動を活発化させている。
こうした厳しい安全保障環境下で、真に国民を守り抜ける態勢を作り上げるためには、これまでの延長線上に留まらない防衛力の抜本的強化、その裏付けとなる防衛費の相当の増額が必要でした。その意味で今回の3文書に伴う防衛費増額は、我が国の安全保障政策における歴史的な大転換です。実現したのはひとえに、政治の強いリーダーシップがあったからだと考えています。
中西 国際情勢の緊迫化に伴い、国民の防衛に対する意識も変化してきていますね。昨年12月には、あの朝日新聞がおこなった全国世論調査でも、反撃能力について、賛成が全体の56%を占め、反対の38%を上回る結果となりました。安保3文書成立の背景には、こうした世論の強い後押しもあったのではないでしょうか。
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source : 文藝春秋 2023年3月号