インドの新首相、ナレンドラ・モディは63歳。独立後生まれとして初の首相である。
インドの人口は12億人。中国の13億人よりやや少ないが、今世紀半ばには15億人を突破し、世界一になると予測されている。しかし、経済規模は、中国がインドの4倍も大きい。アジアの経済大国番付は現在、中国、日本、インドの順で1位、2位、3位である。
モディはインドの国民の生活を向上させ、インドを中国に負けない経済大国にすると大見得を切った。モディノミックスのスローガンは「寺院をつくる前にトイレを」である。
モディの政党のBJP(インド人民党)はヒンズー至上主義を標榜している。モディは、今回、選挙公約に牛の目の手術に対する政府補助を入れたほどである。それでも、今回の選挙でモディは総得票の9%をムスリム層から獲得した。ムスリムはモディがグジャラート州知事をしていたときに起こったヒンズー教徒によるムスリム虐殺の悲劇を忘れてはいないが、その多くは、インドを喰む三悪である「腐敗、お役所仕事、お粗末インフラ」を何とか改革してほしいと願い、「平民宰相」であるモディのYes, we can. に期待した。
このようにモディは改革派であるが、同時にナショナリストでもある。それも単なる愛国主義ではない。外の脅威に鋭敏に反応する反動的ナショナリストである。その対象は、パキスタンよりむしろ中国である。中国とは国境紛争を抱えているだけでない。中国が南太平洋に次いでインド洋進出に強い意欲を示していることを警戒している。
こう書いてくると、日本の安倍晋三首相との相似点が目につく。
安倍首相も、日本で初めての戦後生まれの首相として第一次安倍内閣を率い、「失われた時代」から日本を立て直そうと改革を旗印にした。
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source : 文藝春秋 2014年8月号