安倍晋三政権が登場してから3年となった。自民党60年の歴史で、この政権ほど日本を取り巻く内外の環境が厳しい政権もない。
長期デフレから抜け出すために金融政策面でQE(量的緩和)劇薬を施す、人口減少に対応するため1.8の出生率目標を掲げる、さらに、海洋秩序を力によって変更しようとする中国の攻勢に対して正面から抑止力を強化する。いずれも戦後の自民党からすれば異次元の政策を展開している。
この政権が自民党が育ててきた「戦後保守」の軌道を逸れ、日本の中道保守政治を掘り崩してしまうのではないか、との懸念をされる所以でもある。
「戦後保守」とは池田勇人内閣から小渕恵三内閣までの自民党政治の基調をなす保守政治である。その特徴は、弱者切り捨てをしない「国民政党」、国際協調主義を旨とする「開かれた国益」、健全財政を志向する資産と機会の「世代間継承」にあった(日本再建イニシアティブ『「戦後保守」は終わったのか』)。
この「戦後保守」が揺らいだのは、以下のような背景からである。
・冷戦後のバブルの崩壊と長期デフレによる経済失政と財政赤字の重圧下の「負の分配」政治の登場。
・冷戦の終焉に伴う、階級対立克服のための保守の規律の弛緩と課題先取り意欲の減退。
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source : 文藝春秋 2016年1月号