選手との対話が合理化、見える化に血を通わせる
敗軍の将は、顔が強張っていた。今にも泣きだしそうでもあり、笑みを湛えているようでもあった。
高校野球の日本一を決める、夏の甲子園。昨年、第1回大会から107年間も優勝がなかった東北勢で初めて大優勝旗を掲げた仙台育英は、決勝戦で第2回大会以来、107年ぶりの全国制覇を目指す慶應義塾に2対8で敗れ、連覇の夢は潰えた。
監督の須江航(すえわたる、40)は、顔を上げていた。
勝者を称え、自らの足元を見据え、奮い立たせるように言葉を吐いた。
「慶應はただただ強かった。完敗です。2年間で頂点と、あとひとつの悔しさを共に味わうことができました。人生は敗者復活です。この経験を次に生かします」
敗戦の直後であっても、須江はすでに原点へと立ち返っていた。
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source : 文藝春秋 2023年10月号