改造人事の焦点は木原と幹事長

赤坂太郎

ニュース 政治

月刊「文藝春秋」の名物政治コラム「赤坂太郎」。茂木を続投させるか、小渕入閣で支持率は上がるのか、岸田の悩みは深い

 首相の岸田文雄が近く行う内閣改造・自民党役員人事には2つの難題がある。判断を誤れば、支持率低迷に苦しむ政権の命運を左右しかねない。まずは、妻が元夫の不審死を巡り警視庁に重要参考人として聴取された官房副長官、木原誠二の処遇。そして、次期首相への意欲を隠さない党幹事長、茂木敏充を続投させるかどうかだ。

 木原は岸田が勝利した2021年の総裁選の公約に始まり、政権発足から2年近く岸田肝いりの政策すべてを副長官として取り仕切ってきた。順当なら今回の人事で初入閣する流れだった。「使えない官房長官」(党関係者)との評価が定まりつつある松野博一に代わって長官に昇格しても、誰も驚かなかっただろう。

 順風満帆だった首相側近の航路を阻んだのは「文春砲」である。木原が警視庁による妻への事情聴取に際し、捜査に圧力をかけたのではないかという疑惑を『週刊文春』が7月に報じた。木原は公の場で釈明しないまま、同誌を刑事告訴したと発表した。その後も続報によって疑惑が深まる一方で、入閣の目はなくなった。閣僚は記者会見を避けて通れないからだ。

 岸田は木原に国民への説明を促すでもなく「本人が人を殺したわけではない、と他人事のようだ」(総理周辺)という。8月18日の米ワシントン郊外での日米韓首脳会談には木原を同行させた。7月の訪欧、続く中東歴訪には木原に代えて参院議員の官房副長官、磯﨑仁彦を同行させていたため、今回の訪米同行は「木原を続投させる意思表明だ」との観測が党内に広がった。

 だが、木原は通常なら官房副長官が担当する首脳会談の報道陣へのブリーフィングをしなかった。官房副長官がメディアから逃げ回っていては役割を果たせず、官邸による指揮・調整の停滞に直結する。官僚出身で政策に強い議員は他にもいる。それでも木原を続投させるほど岸田は情に厚いのか。

 将来の世襲をにらみ首相秘書官にした長男翔太郎でさえ、『週刊文春』に「公邸忘年会」を暴露されて程なく辞めさせた。木原の処遇を巡っては「さすがに代えるだろう」「訪米同行は卒業旅行」との声も官邸内にある。

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source : 文藝春秋 2023年10月号

genre : ニュース 政治