トランプ再選は日本の最大の「地政学的リスク」

新世界地政学 第146回

ニュース 社会 国際
 

「次から次へと現れる地政学的リスクの中で、トランプが再度、大統領になることが最大の地政学的リスクです」

 昼食を共にした自動車メーカーの経営者はそう言った。

 トランプはこのほど、再び大統領になったら、世界から米国への輸入品には一律、自動的に10%の関税をかける、と発言した。トランプ政権は日本の自動車に大幅な関税をかけようとしたが、安倍政権によってそれは阻まれた。再選となれば次は遮二無二それを押し付けて来るのではないか、と早くも身構えているのだ。

 政府部内からは、トランプが米国の同盟国から法外な“みかじめ料”を取り立てようとするのではないかと恐れる声も聞かれる。

 トランプ政権は在韓米軍駐留経費と在日米軍駐留経費をそれぞれ5倍、4倍にすることを求めた。

 再選されれば、米韓同盟が最初の犠牲者になる可能性がある。トランプは金正恩との間で再び、サミットを仕掛け、非核化の“ディール”に持ち込もうとし、米朝首脳会談でトランプが譲歩案として示した朝鮮戦争の「終戦宣言」や米韓軍事演習延期などをまた持ち出すかもしれない。そんなことになれば、尹錫悦政権にはすさまじい打撃となる。

 もう一つ、米韓同盟が崩れれば、韓国の核保有論は勢いを増すだろう。もっとも、トランプは2016年の大統領選挙中、「韓国と日本の核武装がいいのかって? かまわない。認めようじゃないか」と述べている。金正恩は今回、プーチンが甘やかしたおかげで増長し、危険な賭けに出る可能性もある。トランプが韓国と日本の核オプションを奨励することもありうる。

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source : 文藝春秋 2023年11月号

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