豊かな自然と多彩な歴史・文化に彩られたカナダ。その魅力に触れることで、あなたの人生はきっと変わる。初めての訪れた海外がカナダで、それ以来カナダが大のお気に入りという脳科学者・茂木健一郎さんをホストに、ゆかりのゲストをむかえる対談企画の第一弾。今回のゲストは、現在バンクーバー留学中のタレント光浦靖子さんを迎え、カナダ、バンクーバーの魅力をお二人で大いに語ります。
生き方がシンプルになりました 光浦靖子
茂木 光浦さん、カナダに行っていま三年目を迎えますが、留学のきっかけは?
光浦 正直、それほど知識はなかったんですよ。ただ、バンクーバーが大好きな友人がいて、その人が案内してくれるというので、遊びにいったんです。
茂木 いつ頃のこと?
光浦 2018年だったかな?バンクーバーに着いた、その夜、佐々木健介さん、北斗晶さんのご夫妻にバッタリ出くわしたんです。留学中の息子さんに会いに来たとかで、「わたしももう少し若かったら、留学したかったな」なんて話をしたら、北斗さんが「光浦ちゃんが本気なら、エージェント紹介するよ」って。トントンと留学が決まったんです。
茂木 すごい急展開だったんですね(笑)。
光浦 カナダは英語がうまく話せなくても受け入れてくれると聞いていたので、じゃあ、もう一度英語を勉強し直そうと……。
茂木 いまは料理の専門学校に通われているとか。
光浦 インターナショナルのクラスです。チャイニーズ系やイラン系の方などいろんな人と出会えて、毎日が刺激的ですよ。
茂木 カナダは多様性を大事にする国ですからね。僕は15歳のとき、初めて海外に行ったんですが、それがバンクーバーだったんです。そのときも、いろんな国の人がいて、そんな人たちが自然と一緒に暮らしているのがすごく印象的でした。
光浦 間口が広いんですよね。日本人は日本人のまま、インド人はインド人のままでいい、と。別に生粋のカナダ人の真似をする必要はない。そのままで、自然とうまく共存していけるような受け入れ態勢なんです。以前は人と話をして、なぜか言葉尻のささいなところが気になって落ち込むこともあったんですけど、バンクーバーでは余計なことを考えずに過ごせています。生き方がシンプルになりました。
茂木 多文化国家であることがカナダの魅力ですからね。もうひとつの魅力が美しい自然。バンクーバーはどうですか?
街と大自然の共存が素晴らしい 茂木健一郎
光浦 スタンレーパークでサイクリングしたんですが、最高でした。深い森が海にぽっかり浮かんでいて、アザラシが海面から顔を出してはしゃいでいるし、サイクリングしながら「ここは天国じゃねーか」って(笑)。
茂木 僕はバンクーバーに行くと、必ずスタンレーパークのシーウォールを一周ランニングするんですよ。街の中心近くにあんな大自然の公園があるって、すごいですよね。
光浦 自分の家からテレビ局まで行く途中に、大きな森があるという感じ(笑)。
茂木 スタンレーパークは紅葉していました?
光浦 始まったばかりでした。こっちの赤はきれいですよね。空が青いからすごく映える。
茂木 バンクーバーは都会でも空が広い。澄んだブルーのもと、赤や黄の木々があって……。
光浦 ちょっと足を延ばせば渓谷のあるリンバレー公園でハイキングが楽しめるし、シーモアマウンテンでスキーやスノボが楽しめる。バンクーバーが好きなのは、車で30分も走れば、大自然が楽しめるところです。
茂木 バンクーバーは都会なのにね。街の見所はどうですか?
光浦 グランビルアイランドは楽しいですね。海を眺めながら食事や買い物ができる。たまにお茶を飲みにカフェへ行きます。あと、カナダプレイスも好き。通っていた語学学校のそばにあったので、コロンビア人の親友とお弁当を食べたりしました。
茂木 カナダプレイスはバンクーバー万博のカナダパビリオンだった建物なんですよ。カナダはそういうレガシーを大切にする国ですよね。
光浦 ホームステイしてわかったんですけど、カナダの人って家具でもなんでも、全部自分で修理して大切に使う。人が手間をかけるという、贅沢がある。しかも、捨てるときもしっかりと分別するし。そんな暮らしが素敵だし、私は好きなんです。
茂木 環境に配慮した生活をきちんとしているところが素晴らしいですね。光浦さんの話を聞いていたら、またバンクーバーへ行きたくなったなぁ。今日はありがとうございました。
協力=カナダ観光局
写真=Destination Vancouver,Nelson Mouëllic, Kazutoshi Yoshimura, Albert Normandin,Destination British Columbia, Kindred & Scout, 細田 忠
source : 文藝春秋 2024年1月号