令和の廃藩置県

日本人へ 第246回

塩野 七生 作家・在イタリア
ニュース 社会 国際
 

 令和ならば六年目になる今年は元日早々から、日本人にとっては悪いニュースで始まった。北陸を襲った大型地震とそれに関連していなければ起らなかったにちがいない、羽田空港での事故と。日本の外でも、今のところは局地戦争だがいつでも大戦争につながりかねない状況は、解決に向うどころか世界中に飛び火する一方。二〇二四年は世界中が、お先まっ暗で始まったようである。

 ところが、その元日から一週間も過ぎないというのにヨーロッパでは、日本での地震関連の報道は完全に姿を消した。日本人はまじめだしカネもあるのだから自分たちでどうにかするだろう、と思われたからだが、日本への関心そのものが極度に低下していたことにも要因がある。

 そう思っていたときに読んだのが、『Voice』二月号に載っていた、アメリカ人の学者へのインタビュー記事。知日派の政治学者としても知られるジェラルド・カーティスに、日本側の記者が質問する。

「〔世界中を巻きこんでいる〕危機のなか、日本が国際的に果たせる役割はありますか」

 教授は答える。

「ありません。これまでお話ししてきた問題に対して、日本が大きな役割を果たせるとは思えません」

 まったく、ミもフタもない正直で率直な回答には笑ってしまったが、この人はいかに知日派の学者でも米国人である。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から

  • 1カ月プラン

    新規登録は50%オフ

    初月は1,200

    600円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • オススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2024年3月号

genre : ニュース 社会 国際