政治の懐に飛び込んで本音を聞き出すのは、実に大変なことです。政治家は心を許した人にしか本音を明らかにしませんし、この場合の「心を許した人」というのは、実際には自分に心酔した人物や何でも言うことを聞く人のことです。
このためジャーナリストや学者が本音を聞き出そうとしていると、往々にして政治家に癒着してしまいがちです。
ところが、相手が著者のジェラルド・カーティス氏だと、名だたる政治家たちが、実によく本音をさらけ出すのです。
そこには、カーティス氏がアメリカ人という“余所者”という意識もあったかもしれませんが、一番大きな理由は、カーティス氏が日本文化をこよなく愛し、日本語がペラペラであるということだったのでしょう。「彼なら正直に話しても、不当な扱いをしないだろうし、誠実に受け止めてくれるだろう」という信頼感を得ていたからだと思います。
カーティス氏が世に知られるようになったのは、1971年に出版された『代議士の誕生』という研究です。これは、当時、中選挙区だった大分2区の自民党候補者の選挙運動に1年間密着して、自民党の選挙運動組織についてまとめたものです。
日本国内では、それまでこうした研究論考はなかったことから、政治を学ぶ人たちにとってはバイブルのような存在になりました。私も学生時代、大いに勉強になりました。
『代議士の誕生』は、48年前の書籍でありながら、いまも貴重な論考であり、2009年に日経BPクラシックスから新版が出ています。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から
-
1カ月プラン
新規登録は50%オフ
初月は1,200円
600円 / 月(税込)
※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。
-
オススメ
1年プラン
新規登録は50%オフ
900円 / 月
450円 / 月(税込)
初回特別価格5,400円 / 年(税込)
※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2019年9月号