(右から)
信金中央金庫副理事長・元国税庁長官 中原広
エポック社代表取締役社長 前田道裕
母校は、制服着用不要の自由でスマートな都会的校風だったが、下町の区立中学出身の私は文化の差に戸惑った。生徒達は、附属小・中学校出身者を内部、一般小・附属中出身者を中学外部、附属中以外の出身者を高校外部と称していた。戸惑い不貞腐れていた高校外部の私と最初に友人づきあいしてくれた内部生が、前田である。彼はビジネスマン志望で、英語力を磨いていた。
別々の大学に進み、彼はNECの海外部門で活躍し、私は大蔵省で働いたが、交友は続き、彼の車で旅行やゴルフに何度も出かけた。その後彼は父上創業のエポック社を継ぎ、同社を世界的玩具会社に発展させている。私は役所を国税庁長官で退官し、現在信用金庫の中央機関に勤めている。
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source : 文藝春秋 2024年4月号