(右から)
弁護士・元検事 野口元郎
三菱地所取締役 西貝昇
LIXIL取締役代表執行役社長兼CEO 瀬戸欣哉
工学院大学理事長 後藤治
弁護士 𠮷野正己
一、東西文化融合のわが民族理想を遂行し得べき人物 二、世界に雄飛するにたえる人物 三、自ら調べ自ら考える力ある人物
この「建学の三理想」を掲げる憧れの武蔵学園に入学した53期は、ユニークな教師陣と緑豊かな広い校庭の中で自由を謳歌して多彩に育った。進学は理系全盛期の武蔵にあって5人中4人は東大文系に進んだ我々が、学園の象徴「大欅」の前に集合。
中心人物の瀬戸は、伝統のバスケットボール部で活躍、「課外」活動にもご熱心。大学卒業後、住友商事で留学後に立ち上げた社内ベンチャーを一部上場の大企業に仕立てた。その後プロ経営者として就任した現職での他に類例を見ないCEO復帰劇は文藝春秋刊『決戦!株主総会』に生々しい。
その瀬戸の大復帰劇を支えた立役者が弁護士の𠮷野。高校は生物部だったが、大学は法学部、卒業後は外交官を経て現職。瀬戸の戦いを顧みて、武蔵の皆は他人に流されず自分の望む生き方を貫いていると、三理想「自ら考える」の体現を語る。
次は野口。高校時代は「ゴルゴ13」に心酔し、大学では射撃部の副将。卒業後、検事となったが、異色ながらキャリアの後半は国際関係を中心に活動し、三理想「世界に雄飛」を体現。カンボジアの国連判事、国際刑事裁判所の役員、最高検検事、外務省国際司法協力大使などを務めた。
後藤は、在校時に民族文化部50周年記念論文を執筆、そのテーマ・古建築にはまり東大で建築を専攻、文化財保存の道へ。文化庁勤務の後、大学での研究教育に従事。「自ら考える」習慣が発想の原点と語るが、「東西文化融合」も体現、と私は思う。
西貝は、大学まで10年間の軟式テニス部を経て、同じ会社での勤務が40年を越え、同期会では永久幹事を務めている。(西貝)
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source : 文藝春秋 2024年5月号