習近平が謳う「平和的解決」は危険なシナリオだ(聞き手 城山英巳・北海道大学大学院教授)
「台湾でしっかり仕事もやってくれよ」
2016年8月、菅義偉官房長官にそう激励されました。私が「日本台湾交流協会」の台北事務所(国交のない台湾における大使館に相当)に赴任する直前のことです。
同年1月の総統選では、民進党の蔡英文氏が当選していました。選挙翌日、外務省アジア大洋州局審議官だった私は交流協会の大橋光夫会長(昭和電工元社長)と共に民進党本部を訪れ、蔡氏と面会しました。蔡氏とは、彼女が2000年に特別行政機関「大陸委員会」の主任委員だった頃からの古い付き合いです。お祝いの言葉と、前向きな日台関係を築くためのメッセージを伝えました。
総統選の直前、私のチームは対台湾戦略を書いて、安倍晋三総理や岸田文雄外相に提出していました。2年間の台湾勤務では、この戦略に基づいて日台間の懸案を蔡政権中枢と直接交渉するのが主な仕事でした。
私は若い頃から、対中外交を極めようと思ったら台湾を知らなくてはならないと考えていました。中国語研修組「チャイナスクール」の中でも、いわゆるキャリア組で2度、台湾に赴任したのは私だけです。
今年5月20日には頼清徳氏が新総統に就任します。台湾問題の「平和的解決」を謳いつつ、虎視眈々と統一を狙う習近平国家主席にどう対峙するのか。日本の安全保障に直結しますから、注視しなくてはなりません。
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