老化をコントロールする時代へ アンチエイジングはSFではない

河合 香織 ノンフィクション作家
ライフ テクノロジー サイエンス ヘルス

「脂肪」が抗老化の“鍵”であるNADを保つ

「老化制御(アンチエイジング)研究の最前線は、皆さんが考えていらっしゃるより、相当先に進んでいます」

 こう語るのは、「老化制御」の世界的な研究者であるワシントン大学医学部の今井眞一郎卓越教授だ。

 今井教授は、30年以上にわたって、老化制御メカニズム研究の最前線に立っている。ビタミンB3から作られる成分の一つで、抗老化作用をもつとして、日本でも大きなブームとなっている「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」研究の草分けの1人としても知られている。

「少なくとも哺乳類であるマウスでは、神経細胞を人為的にコントロールすることで老化を遅らせ、寿命を延ばすことが完全に可能になっています。その意味では『老化を制御することは、もはやSF(サイエンスフィクション)ではない』と言えるでしょう」

 さらに驚くべきことに、「ヒトにおいても、10年先というレベルではなく、5年以内に実現可能ではないか」と今井教授は話す。

今井眞一郎氏 ©文藝春秋

 人間は、最長で何歳まで生きられるのか。

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source : 文藝春秋 2024年6月号

genre : ライフ テクノロジー サイエンス ヘルス