日本映画界を代表する監督・小津安二郎(1903〜1963)。家族を多く描いた小津作品で名子役として活躍した設楽幸嗣氏が、小津との出会いと思い出を語る。
小津先生とはじめてお会いしたのは、僕がまだ5歳の時でした。松竹の大船撮影所の正門前にある「月ヶ瀬」という食堂です。
僕は昭和27(1952)年に松竹映画『夢と知りせば』で子役としてデビューし、ここで毎日お昼を食べていました。父が当時松竹で仕事をしていた関係もあって、中村登監督に見いだしていただいたのです。
先生もこの食堂がお気に入りで、毎日通われていました。そんなわけで、いつの間にか僕と先生は顔見知りになっていました。
ある日、先生から「幸(こう)ちゃん、今度僕の映画に出てくれないか?」と誘われました。それが佐分利信さん、木暮実千代さんが主演の映画『お茶漬の味』(1952年)でした。
僕の出演はたったワンシーンでしたが、撮影は1日がかりでした。
子ども心にも「うわさには聞いていたけれど、小津組って本当にすごいなあ。こんなにもきめ細かく丁寧に、撮影を進めていくんだなあ」と思ったのを覚えています。
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source : 文藝春秋 2024年8月号