小津安二郎 幸ちゃんが主役だよ

設楽 幸嗣 作曲家・プロデューサー
ライフ 昭和史 映画 ライフスタイル

日本映画界を代表する監督・小津安二郎(1903〜1963)。家族を多く描いた小津作品で名子役として活躍した設楽幸嗣氏が、小津との出会いと思い出を語る。

 小津先生とはじめてお会いしたのは、僕がまだ5歳の時でした。松竹の大船撮影所の正門前にある「月ヶ瀬」という食堂です。

 僕は昭和27(1952)年に松竹映画『夢と知りせば』で子役としてデビューし、ここで毎日お昼を食べていました。父が当時松竹で仕事をしていた関係もあって、中村登監督に見いだしていただいたのです。

 先生もこの食堂がお気に入りで、毎日通われていました。そんなわけで、いつの間にか僕と先生は顔見知りになっていました。

小津安二郎

 ある日、先生から「幸(こう)ちゃん、今度僕の映画に出てくれないか?」と誘われました。それが佐分利信さん、木暮実千代さんが主演の映画『お茶漬の味』(1952年)でした。

 僕の出演はたったワンシーンでしたが、撮影は1日がかりでした。

 子ども心にも「うわさには聞いていたけれど、小津組って本当にすごいなあ。こんなにもきめ細かく丁寧に、撮影を進めていくんだなあ」と思ったのを覚えています。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2024年8月号

genre : ライフ 昭和史 映画 ライフスタイル