その“幸せ”、自分にフィットしてますか?
人生、なんだか上手くいかない。他の人は、上手くいってるように見える。私がいけないんだろうか。変わらなきゃ、きっと幸せになれない。よし私も一念発起して、今の自分とは違う人間になって、人生の風向きを変えるぞ! こんな決意には実は危険も潜んでいると、吉本ばななさんの『幸せへのセンサー』は教えてくれる。本書に書かれた“幸せへのセンサー”を敏感にする方法は、難しくなく簡単で、心がければ今日から、今すぐにでも始められそうな方法が多い。でも細かく注意深く、自分の心や身体の状態を観察することを勧めていて、根気よく長期で続ける必要があり、とにかく即変わりたい、幸せになりたい人たちにとっては、耳の痛い方法でもあるかもしれない。世の中には人も情報も溢れていて、生活を向上させるにはまず、この自分より外に溢れている世界を利用しなければという気分になる。でも本書は、自分の身体がよく頑張ってきたことを思い出させてくれる内容で、自分の意志だけで動いて、身体を振り回していたら、結局はうまくいかないことに気づかせてくれる。自分は本当に変わるべきなのか? 変えるべきは物事の見方であって、状況ではないんじゃないか? と。
欲望を突き詰めていくと欲望はどんどん大きくなって、体に制限されてない完璧な自分へ戻ろうとする、という内容のことも書いてある。それを読んで、確かに人間は貪欲すぎると体のキャパシティなど楽々と超えて無理をしてしまうなと思った。体の制限が無いころの自分というと、魂だけだったころの時期だろうか。お腹が空いたとかストレス発散したいとか、体が求めていることだと、つい勘違いしてしまうけど、体はすでに栄養過多だったり、疲れていたりするのに、欲望だけどんどん膨らんで、やってしまうことがあって、となると体の部位でただ一つ脳だけが望んでることを無理にやってしまってるのかもしれない。自分という小宇宙を統率するバランスが崩れてしまってるのかなとも思う。体はしゃべらないから(口があるのに!)声なき声をキャッチして、小さな反応を見逃さずにいきたい。
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