自由を奪われたことで解放を見出した
カラフルな目出し帽とドレスがトレードマークのロシアのフェミニスト・パンク集団プッシー・ライオット。2011年から音楽活動を始め、ロシアにおける性差別や家父長制を糾弾し、プーチン批判も辞さない。本書は、その創設メンバーによる解放のための活動の指南書だ。
全体はまさに「指南書」の構成で、アクティビストとして生きるための10のルールが語られる。「海賊になれ」「ドゥ・イット・ユアセルフ」「オルタナティヴを創造せよ」。ルールはどれも前向きで力強い。だが特に強い印象を受けたのは、その間に語られる、「ルール」として一般化することなどとてもできないエピソードである。特に2年の実刑判決を受け、非人間的な環境下で強いられた強制労働の経験は強烈だ。彼女がそれについて語る言葉は、「宗教的」と言いたくなる啓示の感覚を帯びている。
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source : 文藝春秋 2024年9月号