ピーター・ゴドフリー゠スミス著 塩﨑香織訳「メタゾアの心身問題 動物の生活と心の誕生」

角幡 唯介 ノンフィクション作家・探検家
エンタメ サイエンス 読書

動物に心はあるのか?

 犬と生活しているとその行動に驚かされることが多い。そのふるまいはどこか政治的だ。飼い主である私やボス犬の顔色をうかがって次の行動を決めており、明らかに複雑な意識があるようにしか思えない。でも彼らを見る私の視点には大なり小なり擬人化がほどこされており、その意味で私の目により毒されている。本当に彼らの行動は、私が感じるように豊かなのだろうか?

 動物の意識はどうなっているのだろう。これは人間以外の生き物と暮らすあらゆる人が感じる疑問ではなかろうか。彼らが言葉で説明してくれたらわかりやすいのだが、残念ながらそれは期待できそうもない。だからいまだにデカルト以来の動物機械論が根強くはびこり、人間以外の動物には自意識がなく、その行動の裏には単純なアルゴリズムしかないと考える人が多いのである。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2024年8月号

genre : エンタメ サイエンス 読書