評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
ポップコーンを山盛りにしたバケツのような容器を抱えてシネマコンプレックスの席に座る。日本でもよく見られるようになった光景だ。ポップコーンがシネコン同様にアメリカ生まれであることはもちろん知っていた。だがそのルーツが先住インディアンの食べ物だったというのは鈴木透『食の実験場アメリカ』(中公新書)を読んで初めて知った。
他にもフライドチキンは黒人奴隷が、ハンバーガーやフライドポテトはドイツやフランス系の移民がそれぞれ持ち込んだ食が今の形に進化したものだという。こうして多彩な文化的要素が複雑な交配プロセスを経て作られたアメリカの食が、今や強力な機械化農業や食品工業技術を背景に量産体制を確立、各国文化に対応できる柔軟性をも備えたかたちで輸出され、世界の食文化を席巻しつつある。
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source : 文藝春秋 2019年10月号