口から肛門まで続く消化管は、食道と胃、十二指腸から成る「上部消化管」と、小腸、大腸(結腸、直腸)で構成される「下部消化管」に分けられます。上部消化管では食べ物を溶かすこと、下部消化管ではその栄養や水分の吸収が主な役割です。
成人の平均的な長さで見ると、大腸の約1.5メートルに対して小腸は6〜7メートルもあり、人のお腹の中は「小腸で埋め尽くされている」と言っても過言ではないでしょう。
手術で大腸をすべて摘出すると、便の水分が吸収できなくなるので水様便になってしまいますが、それでも生きてはいけます。
ところが小腸は、水分ではなく「栄養」を吸収するという重大な役割を担っています。大量に切除して残りが1メートル以下になると、栄養を吸収できなくなって生きていけなくなるのです。
このように、人が生きていくうえでの重要度で見ると、小腸は大腸に勝る存在とされてきました。ところが近年、「老化」という視点で腸を見ると、大腸の存在感が増してきているのです。そのことを象徴する疾患があります。「憩室」です。
大腸の壁が薄くなり、腸管の外側に向けて袋状に飛び出すこの病気、バリウム検査をすると大腸の外側に「ぶどう」のような丸い袋が膨らんでいるのが見て取れます。老化と肥満が原因とされますが、特に老化と憩室の関係性は強く、その証拠に子どもに憩室が起きるのは非常にまれなことです。
憩室に自覚症状は少ないものの、袋の中に便が長時間溜まると「憩室炎」という炎症を引き起こし、痛みや発熱を伴うことになります。
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