西田敏行、山藤章二、細江英公、白井佳夫、大山のぶ代

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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム

★西田敏行

西田敏行 Ⓒ文藝春秋

 俳優の西田敏行(にしだとしゆき)は、多様な役柄を見事に演じ分け、人懐っこい笑顔が愛されて国民的俳優と呼ばれた。

 1980(昭和55)年に始まったテレビドラマ『池中玄太80キロ』では、亡くなった妻の連れ子3人を抱えたカメラマンを演じた。このドラマで人気を決定的なものにし、それまで「主役は二枚目」が常識だったテレビドラマを、小太り短足でも主役になれるものに変えた。

 47年、福島県郡山市に生まれる。幼い頃父が亡くなり5歳のとき母が再婚したので、母の姉夫婦の養子となる。「かわいい子でないと居場所がないと感じ、かわいい子を懸命に演じました」。この体験が俳優の意識につながったのではないかと回想している。

 小学生時代に養父が頻繁に映画に連れて行ってくれ、中学校では俳優や歌手の真似をして友人たちに喝采された。高校受験のころには「俳優に必要な標準語を喋れるようになるため東京に行こう」と決心していたという。

 養父母に許しをもらい明治大学付属中野高校に入学して親戚の家から通学する。明大に進学したが中退、日本演技アカデミーを経て、青年座養成所に入った。入団の面接で「役者は食べていけないよ」と言われるが「僕は食べてみせます」と答えたという。

 71年、矢代静一作の舞台『写楽考』で主役に抜擢、73年のNHK連続テレビドラマ『北の家族』で大工役が注目された。74年、演劇で出会った女性と結婚。81年には「もしもピアノが弾けたなら」がヒットする。

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source : 文藝春秋 2024年12月号

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