ジュディ・オング『魅せられて』など数々の名曲を手がけた作曲家・筒美京平(1940〜2020)。生前極めて親しかったミュージシャンの近田春夫氏が思い出を語る。
京平さんに初めてお目にかかったのは昭和51(1976)年、自分の最初のバンド、ハルヲフォンの2枚目のシングルをTD(ミックスダウン)し終わった直後のことだった。
当時所属していたキングレコードの担当ディレクターだった井口良佐さんが、京平さんとは大学が同窓ということで懇意にされていた経緯もあり、お願いして引き合わせていただいたのである。
その時分、京平さんの仕事場は飯倉片町のあたりにあった。そういえば、時々昼間六本木の街を歩いていらっしゃる姿をお見かけしていたなぁなどと、そんなことを思いながら井口さんと外苑東通りを狸穴の方面へと向かった。
着いた先は瀟洒な作りのマンションでそのどこかの階ワンフロアすべてが京平さんの仕事場なのだった。エレベーターを降りチャイムを鳴らすと早速京平さん自らがドアを開け迎え入れてくださった。通された部屋のしつらえなどはもう昔のことゆえ思い出せないけれど、よみがえるのはその日最後までとても自然に接してくださったことだ。
私は、いわゆるGSの時代から作曲家筒美京平の名には興味があった。が、本格的に夢中になったのは70年代に入ってからだ。世はまさにアイドル黄金時代の前夜、TVをつければ歌番組では新人たちがデビューのオンパレードといった様相を呈していた。画面下に示される作者の名にもついつい目がいってしまう。
すると、この曲いいなぁ、誰だろう、と思うと大抵が筒美京平だったりするのである。
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