東京都千代田区 「脈 0701」(2007年)が飾られた、アマン東京ボードルームにて(撮影・深野未季)
(右から)
噺家
林家たい平
作家
吉永南央
画家
浅見貴子
映像メディア総合研究所代表
四方田浩一
東京から特急で78分、荒川の源流を集める秩父盆地に母校埼玉県立秩父高等学校がある。1907年創立の普通高校だ。
その美術部で、私たちは出会った。
今回、浅見さんの大作の前にて、4人としては十数年ぶりに顔を合わせた。
80年入学の私たちの時代はとても自由な校風で、校則といえば「生徒らしい服装」程度。要するに、自分で考えろ、だった。
美術部はその上をゆく。
絵に飽き足らず、映画制作に熱中する部員。美大生となっても訪れる先輩たち。何より、芸大卒で空手が日課の村井先生が自由な方で、先生のアトリエでもあった美術準備室は、部外の生徒や先生方まで集い、絵の具とコーヒーの香りに満ちていた。
当時、元気すぎて校舎2階から仲間と次々飛び下り、階下の生徒を仰天させたのは田鹿くん(たい平師匠)。校内合宿に上質な寝具を持参したいかにも機屋の娘、マイペースなアザミ(他生徒は貸布団)。キャディーのバイトで真っ黒に日焼けしていたのは冷静な四方田くん。ひ弱で欠席日数が多い上に、さらに休んで美術展へ出かけた不届き者は私。こうした中に未来の兆しが見えなくもない。思えば、否定されることなく見守られ育てられた幸福な3年間だった。
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source : 文藝春秋 2019年11月号