日本人の“おしゃれ心”が新元号を生んだ
元号とは何か。元号とは文化です。西暦はキリストの生誕年から始まっているとはいえ、やはりカレンダーとしては断然便利。元号はその点、不便さもある。でも日本人はそれを使い続けてきました。
つまり日本で連綿として受け継がれてきた文化であって、本来、国や役人が定めるものではありません。元号は本来、天が決めるものなのです。
天の命令を受けるのは天子です。日本の天子は天皇で、天を祀ります。その天子が、自分では手の回らない仕事の役の代りを頼んだのが役人で、役人が組織したものが内閣です。天子が天を祀るときにひらめいたものを元号に落とし込むわけですから、考案者が名乗り出ることはありえないのです。
考案者とされている中西という人は、一般国民ですから、役割があるとしたら税金を納めるくらい。そんな国民が天皇の命を受けるというロールを受け持つはずがない。天皇の命を受けたのに、考案者と名乗って表に出る人間がいてはおかしい。中西という人は、そうおかしい人ではありません(笑)。
そういう、おかしいことは言わない方がいいのに、元号の決定について経緯が新聞等につまびらかに載っていてわが目を疑います。新元号の制定に関わった役人が話してしまうのでしょう。私の理想からはだんだん遠のいているというのが正直な感想です。
しかし、「令和」について、ある世論調査では、80%以上の人が良いと答えています。良くないと思ったのはわずかでした。私もこれぐらいモテたいものです(笑)。自然体の感性で、皆さんが良いと思ってくださったことが一番です。幸い、中西という人間は、誇るべき権威を持っておらず、自然体でいることが好きな男のようです。だから、これからの時代を良く象徴するものを、遊び感覚で選ぶことができたのでしょう。
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source : 文藝春秋 2019年6月号