“全裸編集部”が青春だった

本橋 信宏 作家
エンタメ 社会 読書 娯楽

 文章を書いて暮らしていけたら、どんなに素晴らしいことだろう。

 小学生のころから思い描いていた夢は、高校3年の秋、具体的な像となって私をとらえた。

 本誌文藝春秋1974年11月特別号に立花隆「田中角栄研究 その金脈と人脈」と、児玉隆也「淋しき越山会の女王」が掲載されると、政権スキャンダルに発展し、ついには田中内閣が総辞職に追い込まれた。

 ルポライターという存在があらためて私を虜にした。

 1978年、大学4年の秋、フリーランスの物書き稼業になろうとしても、入口がわからず、就職戦線でもテレビ、代理店に弾かれてしまった。

 たまたま声をかけてくれた週刊大衆が、私に見開き2ページの連載コーナーをもたせてくれた。べつに私がすぐれた書き手だったからではなく、最近まで大学生だったのが主因だった。

 80年代初頭、女子大生がアルバイトでホステスをしただけで特集記事が組めた時代だった。「キャンパスギャルのセクシートーク」という2ページの連載が足場になった。ゆくゆくは現代資本主義分析、講座派・労農派の現状といったテーマを書こうと思っていた私は、形而上の世界を切って捨て、形而下で生きていこうと決心した。

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source : 文藝春秋 2025年6月号

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