金と肩を並べる資産になるのか

第二次トランプ政権発足以降、ビットコインを代表格とする暗号資産に強い追い風が吹いています。選挙期間中からトランプ氏は「米国を世界の暗号資産の首都にする」と豪語し、共和党の綱領でも「民主党による不法かつ非米国的な暗号資産規制」を終わらせると明記しました。さらに政府のコントロールが強い中央銀行デジタル通貨(CBDC)の創設に反対し、ビットコインの採掘権やデジタル資産の保有権、政府による監視のない取引の権利を保障する、ともしました。
こうした規制緩和への期待から暗号資産は高騰を続けています。大統領選でトランプ氏が勝利した昨年11月、ビットコインは初めて1BTCあたり8万ドルを上回りました。今年1月には史上最高値を更新し、約11万ドルに。現在は相互関税政策の影響もあり少し下がって8万ドル台を推移していますが、昨年の年初は4万ドル台でしたから、1年で2倍以上になったのです。
振り返れば、2015年1月の時点で約300ドル、2020年1月には約9400ドルだったのですから、5年で約11倍、10年で約360倍になった計算です。

暗号資産市場に対して前バイデン政権では慎重な姿勢が取られていました。当時、証券取引委員会(SEC)委員長だったゲーリー・ゲンスラーは、暗号資産を「金融のワイルドウエスト」と、西部開拓時代の無法地帯になぞらえてリスクを強調しました。
大統領令を大統領令で撤回
また2022年3月に発出された大統領令(EO14067)は、暗号資産やCBDCを含むデジタル資産について、包括的な調査と報告を関係省庁に命じる内容でした。そればかりか、SECは2023年6月、主要な暗号資産取引所であるバイナンスとコインベースに対して連邦証券法違反で提訴したのです。実質的に暗号資産は有価証券であり、本来受けるべき規制を逃れているという理由でした。さらに、銀行による暗号資産の保管業務を事実上困難にする会計指針(SAB121)など、規制措置も講じられました。
対して、トランプ大統領は積極的に後押しする姿勢を見せています。
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source : 文藝春秋 2025年6月号