1 「大交流時代」は古代日本をどう変えたのか?
夫馬 昨年、NHKスペシャルで最新の研究成果から日本古代史の実像に迫る「古代史ミステリー」という番組を制作しました。非常に大きな反響をいただいたので、制作チームの田邊宏騎と番組の内容を書籍化することになり、今年1月に『新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権』(NHK出版新書)を上梓しました。こちらも好評をいただき、4万部に達しました。
日本の古代史は国民的な関心事であることをあらためて痛感しました。そこで今回は番組でも取材に協力いただいた歴史学者の森公章さん、考古学者の上野祥史さん、青木敬さんにお集まりいただき、あらためてグローバルヒストリーから見ると日本の古代史はどう見えてくるのか、そしてそれを踏まえて、「日本」という国の成り立ちを探っていきたいと思っています。

私が取材を通して感じたのは、中国や朝鮮半島の情勢を視野に入れて日本古代史を見ると、学校で習ってきたのとは、かなり異なる風景が広がることでした。島国なので、「日本」という国が太古の昔からあって、孤立して独自に発展してきたように思いがちですが、実際には中国や朝鮮半島の情勢の影響をかなり強く受けて、「日本」が出来てきたことがわかりました。
日朝中の「大交流時代」
田邊 韓国の慶北(キョンブク)大学のパク・チョンスさんという考古学者に取材をしたときに3世紀から7世紀の私たちが「日本古代史」と言っている時代は中国、朝鮮半島、日本の「大交流時代」なんです、とおっしゃっていたのが強く印象に残っています。
夫馬 「大交流時代」の背景には、同時期に起きていた世界的な寒冷化があると思います。それによってユーラシア大陸で北方に住んでいた遊牧民族が南下を始めた。そして多くの民族が“玉突き式”のように南に移動。その奔流は多くの人々が朝鮮半島から日本に渡来することに繋がったとも考えられています。

最初に日本古代の外交や戦争を研究されてきた森さんに3世紀から7世紀の国際情勢を語っていただけないでしょうか。
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