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これからの経済的な転び方はだれが伝授してくれるんでしょうか
上場企業の利益水準や経営内容を見ていても、傾向は何となく分かります。2016年は2年ぶりに上場企業の倒産は起きなかったけど、設備投資したり雇用を増やしたりするような前向きなお金の使い方よりは、いまある設備や資産をもっと有効に使おうという方向にシフトしている状態です。働く側も先が見えないけど、企業側も投資側もトランプ米大統領はああだし中国経済も何があるかわからなくておっかないから前のめりに人を増やしたり設備投資したりするのは控えようって話になっておるわけです。
ドーンと賃金を上げようとするにしても、社会保障の受け皿を公的にしっかり用意したうえで、もう少し機動的に人を雇用したり解雇したりできる仕組みがないと厳しいのでしょう。いまでこそ、ゲレンデからボーゲンで慎重に降りてきている状態だけど、ドカ雪が降ったら大変だし、クレバスはあるかもしれないし、何かあっても誰も助けてくれないかもしれない。自衛せざるを得ない状況であるからこそ、日本のタンス預金は急増して2月末時点で43兆円(前年同月比8%増:第一生命経済研究所調べ)にもなってしまいました。スキーの転び方はスクールで教えてくれたけど、これからの時代の経済的な転び方はだれが伝授してくれるんでしょうか。