「ディズニーランドに行くときくらいじゃないですか」
東京駅で乗り換えようと思っても地下ホームからは急いでも15分。一方で、門前仲町や月島の地下鉄ならば乗り換えることなく都心へGO。だから越中島駅の近くに住んでいる人も、わざわざ不便な京葉線を使うことは少ないのではないか。
実際に月島から越中島駅を横目に通り過ぎて門前仲町まで歩き、途中で地元在住と思しき女性に声をかけてみたが、「越中島駅? ほとんど使わないです。ディズニーランドに行くときくらいじゃないですか」とのお答え。これが歴史と伝統の越中島の名を持つ駅の現実なのである。
ちなみに、越中島駅が開業したのは1990年だが、それ以前より同名の駅が近くにあった。貨物専用、鉄道のレールを輸送するための現在の越中島貨物駅だ。この貨物駅があったことで、京葉線越中島駅は西越中島と名付けられる予定だった。しかし、“越中島”という伝統ある地名に思い入れのある地元の人たちが新たな旅客駅にもその名をと要望。これを受け入れて貨物駅のほうが越中島貨物駅に変更されている。その越中島貨物駅、潮見駅の手前で京葉線が地上に出てきたところで北側に見ることができる。
23区内にあるJRの駅では利用者が最も少ない越中島駅だが、その周辺は、門前仲町と月島に挟まれてだいぶ賑やかだった(大学のキャンパスに挟まれた越中島駅前こそ人通りは少ないが)。月島に渡る相生橋から四方を眺めると、臨海部の象徴たるタワーマンションがいくつも立ち並ぶ。たもとには屋形船の船着き場。遠く晴海の先には東京オリンピックの選手村(晴海フラッグ)もチラリと見える。そうした東京らしさがあふれる一角に、ひっそりと構えているのが越中島駅なのだ。
というわけで、ナゾの京葉線途中駅を2つ続けて訪れて、筆者は門前仲町駅から地下鉄東西線に乗って帰宅した。京葉線でもいいのだが、やはり東京駅での乗り換えが面倒だったのだ。ディズニー帰り、疲れ切って東京駅を延々と歩くのが嫌だなあと思う皆さん、ならば越中島駅で降りて門前仲町駅を利用してみてはいかがでしょうか。
写真=鼠入昌史