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2020/07/07

 K-POPで活躍する日本人は女性だけではない。東方神起やEXOの後輩・NCT 127には大阪出身のユウタ、そして彼と同い年の高田健太も「PRODUCE 101 シーズン2」で知名度を上げ、JBJ95というユニットで活動している。

 いまや韓国の音楽番組やバラエティに日本人タレントが出てくるのは、珍しいことではなくなった。その背景にはK-POPの「世界的成功」と「日本市場への期待」がある。

IZ*ONE。日本人メンバーは画面右の宮脇咲良の他、(宮脇から反時計回りに)矢吹奈子、本田仁美がいる ©getty

“未知の世界”から“目標”へ「K-POPネイティブ」世代の登場

 少し過去に遡ってみると「日本人K-POPアイドル第一号」は2008年にデビューしたA'st1(エースタイル)の藤原倫己だと記憶している。その前には在日三世のSuger・アユミ(現・伊藤ゆみ)も日本語訛りの韓国語で人気を博していた。

 彼らのデビューに至ったきっかけは「ソウル旅行中にスカウトされた」というもので、今の「必死にオーディションを突破」という流れとは対照的だ。当時はまだ韓国のグループがグラミー賞でパフォーマンスしたり、当たり前のように東京ドームでライブを行うなんて想像もしなかった時代。憧れよりも未知への挑戦、まるでスタートアップ企業へ就職するような感覚だったのではないだろうか。

 だが、現在は違う。この10年でK-POPの舞台は憧れであり目標に変化した。TWICEをはじめとする現役の日本人K-POPアーティストは90年代後半生まれ。NiziUのメンバーに関しては2000年以降に誕生しており、物心ついた頃にはすでに日本でK-POPが浸透していた世代だ。

 ちなみに東方神起の日本デビューは2005年、日本の地上波がこぞって少女時代やKARAを取り上げていた「第一次K-POPブーム」は2010年前後。多感な時期に衝撃を受けた音楽がたまたま「K-POP」だったというパターンもあるだろう。そこから“本場”を目指すのは不自然なことではない。

 東方神起やBIGBANGのファンだった母親の影響を受け、SMエンタテインメントやYGエンターテイメントのオーディションを受ける学生も多いと聞く。

BIGBANG ©getty

韓国の音楽業界が「日本人」を求めるワケ

「ダンスと歌で勝負したい」そう考える若者にとって、韓国の充実したアーティスト育成システムは魅力的に違いない。オーディション番組や練習生達のリアルバラエティを見るだけでも、ダンス・歌唱レッスンと語学研修、「アーティストたるもの」という倫理指導に至るまで徹底されているのが分かる。

「お姉ちゃんが勝手に履歴書を送って……」というセリフはもう通用しない。デビュー前からすでに、本気でワールドスターを目指す者だけが生き残れるプロの世界なのだ。花開くのはごく一部、しかしその先には大きな成長と世界規模の舞台が見える。ゆえに母国を離れてでも、人生をかけて挑戦しようと思う若者が集まるのだ。

 ではなぜ韓国側は日本人メンバーを採用するのだろうか。最大の狙いはやはり「日本市場への期待」だ。