身体的不器用さの特徴と背景
不器用な子どもたちの特徴として例えば以下のようなものがみられます。
・力加減ができない
・物をよく壊す
・左右が分からない
・姿勢が悪い
・じっと座っていられない
“力加減ができない”“物をよく壊す”というのは、自動車の運転で例えると、どのくらいアクセルを踏めばどれだけのスピードが出るのか、ハンドルをどのくらい回せば車がどれだけ曲がるかといったことが正確に掴めていない状況に似ています。自分のボディイメージがうまくできていないのです。
“左右が分からない”人は、相手の真似をすることが苦手です。左右が分からないと言っても、「右手を挙げて」と言われてすぐに右手を挙げることができれば“左右は分かっている”と思われがちですが、そうではありません。先生が黙って右手を挙げ、「これと同じ真似をして」と言われて、すぐに右手を挙げることができないと、左右が分かっていることにはなりません。相手のボディイメージを自分にうまく置き換えられないと、左右が分かっている、ということにはならないのです。
学習にも対人関係にも影響する
“姿勢が悪い”は筋肉の調整機能に問題がある場合があります。身体の筋肉の緊張が弱いと関節が柔らかく、まっすぐ立ってもお腹が出るような姿勢になってしまい、そもそも“姿勢が悪く”見えます。また逆に筋肉の緊張が強いと柔軟性に欠け、ロボットのようにぎこちない動きになったりします。姿勢の悪さから“じっと座っていられな”くなります。じっと座っていられないと指先の細かい作業ができず、手先が不器用にもなります。
これらから身体的不器用さは、じっと座っていられなければ学習にも、力加減ができなければ対人関係にも影響します。ですので、学習面や社会面に加えて、身体面への支援も欠かせないことが分かります。