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内部文書入手 自民党が「1億円選挙買収」を行っていた《国会議員・党職員も証言》

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河井夫妻の買収事件と構図は全く同じ

 2012、2014年の衆院選で京都3区から出馬し当選している元国会議員の宮崎謙介氏が取材に応じ、事実関係を認めた。

「私は公募で選ばれ出馬することになるのですが、公募の面接の際、『金はあるのか』としつこく聞かれ、選挙前には『400万円用意しろ』と言われました。『払いたくない』と他の候補者に相談しましたが、『慣例だから従おう』と言われ、渋々用意しました」

――その400万円は、京都3区を地盤とする8名の府議・市議に50万円ずつ配るためか?

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「そうですね。お金を配ると、確かに選挙では効果はあるんです。やはり新人候補は地元の議員頼みになってしまいますから」

自民党京都府連「引継書」の一部

――河井案里氏の買収事件と構図は全く同じだ。

「(河井夫妻の)事件を耳にして、僕は当時の秘書に確認しました。『あれ、ウチもやっていなかった?』と電話したんです。その秘書の答えは『府連を通しているんで……』でした。お金を配るのは選挙直前です。後で考えると京都でやっていたことは、河井案里事件とどこが違うのでしょうか? 京都府連を仲介すれば済む話なのかとひっかかりはしましたね」

 今回の取材では2019年までの国政選挙で総額1億円を超える金の移動が確認できた。また昨年10月の衆院選でも、金が配られたとの証言も得られている。

 選挙買収といえば、2020年6月、河井克行・案里夫妻が、票の取りまとめなどの報酬として計約2870万円を提供したとして公職選挙法違反容疑で逮捕されている。神戸学院大学法学部・上脇博之教授(憲法学)は今回のケースの違法性を指摘する。

京都府連会長の西田氏

「一連の内部文書に記されているように、京都府連を経由させても、選挙買収の意図があれば公職選挙法違反になる。公選法221条の買収罪、もしくは222条の多人数買収に問われる可能性があります。相当以前から行われた常習の可能性が高く、悪質です。罰則は221条が3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金。222条が適用されるならばより重く、5年以下の懲役または禁錮になります」

 京都府連会長をつとめる西田昌司参院議員は、「政治資金については法令に従い、適切に処理している」と回答。また京都府連は「党勢拡大のため、法令に従った政治活動を行っており、貴誌の評価は誤りです」と答えた。

 2月10日発売の月刊「文藝春秋」3月号では、この選挙買収問題を10ページにわたって詳報する。宮崎氏以外の候補者、金を受け取った地方議員の証言に加え、議員名と金額が記された「選挙買収リスト」などの内部文書を公開。さらには、京都府連会長であり、この選挙買収のスキームを作ったとされる西田参院議員の疑惑についても報じる。

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