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連載クローズアップ

「1999年頃から韓国映画はすごい、と思っていました」海外作品に多数出演…國村隼がいま、日本映画に思うこと

國村隼(俳優)――クローズアップ

 日中国交正常化50周年の節目となる今年、中国残留孤児をテーマに母と娘の60年にわたる「絆」を描く映画『再会の奈良』が公開された。

 2005年、中国人の陳慧明は、孫娘のような存在のシャオザーを頼って来日する。養女・麗華が残留孤児として日本に帰国したものの、数年前から連絡が途絶え、心配して探しに来たというのだ。麗華の日本名さえもわからない二人は途方に暮れるが、ひょんなことから元刑事の一雄と出会う。一雄は「麗華に会ったことがあると思う」と言い出し、三人で足取りを追って奈良の町を訪ね歩く旅が始まる。一雄を演じるのが、TBSドラマ『日本沈没』やNetflix『全裸監督』など、昨今の人気作品に引っ張りだこの俳優・國村隼さんだ。

國村隼さん

「私は台本を読んで面白い、と思ったものに出演させていただいています。今回は、奈良の自然や、古い町の風情も美しく、その中を歩き回るロードムービーとも言えますね」

 麗華の行方の手掛かりを探す旅が続くにつれ、シャオザーや一雄の世界も浮かび上がってくる。シャオザーには日本人の恋人がいたが、その両親に拒絶されていた。一雄は娘が東京に行ってしまい、妻亡き今は一軒家に一人で暮らしている。そして、国家に翻弄された麗華が、日本でどんな残酷な扱いを受けてきたかも次第に明らかになるが――。

 監督は中国出身の新鋭・ポンフェイ、共演する二人の女優は中国人と、国際色豊かな作品だ。

「基本的に撮影では英語でやりとりをしていました。今回の監督は、若くて才能がある。楽しかったです。私はデビューした頃から海外作品に出演してきましたが、それは偶然なんです。出演したい作品があって、オーディションがあったり、オファーを受けたり。積み重ねてきて感じるのは、言葉の問題はそんなに関係ないということです。日本人は義務教育で英語を勉強してきているのだから、多少なりとも読み書きは大丈夫なんです。あとはある程度話が通じるようになるまでコミュニケーションを取ってみるという気持ちかな。みんな、もっと自信を持っていいと思います。もちろん、台本があるわけですから、撮影現場も問題ない。共演者とはお互いに役者なので、目を見れば伝わります」

 コロナ禍もあり、世界同時配信されるNetflixなどが隆盛の今、エンターテインメント業界でも、世界を意識した作品や俳優が増えている。80年代から世界を舞台にしてきた國村さんは、現在の状況をどう見ているのだろう。

「アジアでいえば、99年のスパイアクション映画『シュリ』を観た頃から、韓国映画はすごい、と思っていました。役者のスキルが高い。韓国では多くの大学に演劇科が設置されているし、きちんとした“産業”になっているんでそこが素晴らしいですね。ただ私も日本人ですから、日本の作品が世界で評価されるようになってほしいと思っています。共演してみたい俳優は、世界中にたくさんいますから(笑)」

くにむらじゅん/1955年、大阪府出身。81年、『ガキ帝国』で映画デビュー。『キル・ビルVol.1』(03)、『MINAMATA-ミナマタ-』(20)など、数多くの海外作品に出演。韓国映画『哭声/コクソン』(16)で第37回青龍映画賞の男優助演賞と人気スター賞、2016 APAN STAR AWARDS特別俳優賞を受賞。

INFORMATION

映画『再会の奈良』
シネスイッチ銀座ほかで公開中
https://saikainonara.com/

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